今回は迷彩にちなんだ流れから「戦闘服」について書いていこうと思います。

戦闘服(せんとうふく:Battledress/Combat Dress・ドイツ語:Kampfanzug)とは、戦闘用に作られた衣服のことです。
アメリカ陸軍では2014年から、それまでの「BDU(Battle Dress Uniform)」から「ACU(Army Combat Uniform 陸軍戦闘服)」と呼ぶようになっています。
 
■概要■
軍服には当初TPOによる区別はありませんでしたが、兵士の作業服や将校の略装として通常勤務服が定められるようになりました。

やがて、通常勤務服が戦闘にも使われるようになりましたが、迷彩、衛生等の必要性から、これまで戦闘の際に着用されてきた正装や通常勤務服、或は作業服とは別に、専用の戦闘服を採用するようになりました。

迷彩の戦闘服の場合、季節や状況に合わせ、複数の被服を支給しなければならないため、軍にとって費用の負担は重くなり、費用節約の目的のみならず急激な季節変化に対応するため、裏表で異なる図柄や色彩を施したリバーシブルの戦闘服を採用する場合もあります。
 
現代陸軍の戦闘服は、主に次のような着用品となっています。
・ヘルメット(鉄帽)
・ファスナー又はボタン留めの上衣(下は一般に国防色のTシャツ)
・ピストルベルト(弾帯:ズボンを絞るのではなく装備品を下げるガンベルト)
・カーゴパンツ(大腿部にもマチ付きのポケットがあるズボン。ベトナムズボンとも言う)
・ブーツ(戦闘靴、半長靴)
これらを基本とし、各種状況や環境に合わせた装備を装着します。
その他、戦闘服に木の葉や枝等を接着したギリースーツなどの狙撃手用特殊戦闘服などもあります。
 
■歴史■
19世紀までの戦闘(とくに正規軍同士の中規模・大規模な会戦)は、わずかな例外を除き、接近戦でした。
また、前近代の火器に用いられる火薬は黒色火薬が主流であり、激戦時には硝煙で視界が不自由になることも珍しくありませんでした。
そのため、混戦での敵味方の識別、および指揮官の所在地把握などを容易にするため、派手な原色の軍服が主流となっていました。
 
しかしライフル銃の登場や、無煙火薬の普及をはじめとした銃器の性能向上、軍事技術・科学技術の発展により、戦闘が白兵戦から遠距離の射撃戦に移行すると、原色の軍服は目立ちやすく、狙撃されやすい弊害が生じました。
 
このため19世紀後半から、目立たないアースカラーの戦闘服が提唱されるようになりましたが、中世ヨーロッパの甲冑の衣鉢を継ぐ、磨き上げられた胸甲や兜、金モールや肩章で飾り立てられた派手で美麗な軍服は、騎士道の伝統に由来した精神的美意識と密接に結びついていたため、各国の保守的な軍上層部は、泥や枯れ草の色をした軍服を身につけるなど軍人としての名誉を棄損するものであるとして強硬に反発しました。
 
このため、地味な色の軍服の普及は、19世紀から20世紀初頭にかけての数次の戦役で、目立ちやすく派手な軍服の弊害が繰り返し証明されてからのことでした。
 
多くの陸軍の戦闘服の生地は、仮想戦場が森林、平原、密林、砂漠等の地理的条件により、目立たない色が選ばれ、第2次世界大戦頃まで最も多く使用されていた色合いはカーキ色であるといわれています。

これは、インドの自然条件を背景にインド駐箚英軍で採用されはじめ、イギリス正規軍の真紅の制服が仇となり、ゲリラ戦に苦しめられた第2次ボーア戦争が終結に向かう1902年頃、イギリス軍全体で使用されるようになり、これに習い、各国にも採用されるようになりました。
 
最も成功した迷彩は、冬季に降雪地帯で着用する白のオーバーオールであり、これは絶大な効果を発揮しまし、また、純白の戦闘服は他の迷彩服よりは優美であったため、各国においてほとんど反対なく採用されました。
 
1920年代のドイツでは、戦闘服の迷彩として「Splittertarnmuster」と呼ばれる直線で構成された図形を配置するパターンが研究されていました。
その後、生地に複数の色彩で雲形や斑点の模様(パターン)をプリントした迷彩生地が登場し、1929年、イタリア軍が迷彩生地を用いたテントを採用。
同じ頃、ドイツ軍でも研究が進められ、1930年代初頭には迷彩テント及び迷彩服(スモック)が採用されました。
 
この当時の戦闘服は、制服と兼務されており、派手な徽章がついていましたが、それを着用したまま、迷彩効果を上げるため、どうしても通常の軍服の上に重ね着するスモックという形を採用せざるを得なかったと思われます。

このスモックは上着のみで、あくまで応急的な処置でした。
その後ドイツ軍は1944年頃に、迷彩生地でできた制服を開発、正式に配備しました。
これが迷彩服のルーツであると考えている研究家少なくありません。
これに遡ること1940年初頭、アメリカ軍は各種迷彩生地でできた戦闘服を開発。
一部が少数採用され、限定的に使用されましたが、試作、研究の域から脱することはありませんでした。

現代では、戦場の埴生や冬季・夏季の季節に応じた多種な迷彩服が多用されています。
ヘルメット(鉄帽)にも同様の迷彩柄を施した「迷彩カバー」を被せることが一般的です。

戦闘服とは? - 後編 - に続きます
 
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