今回はミリタリー関連から「迷彩とは何なのか?」を書いていこうと思います。
 
■概要■
カモフラージュの方法は多彩ですが、代表的なものが迷彩であるといえます。
複数の色によるパターンを描いたものを「分割迷彩」
単一の色で塗り込めてパターンを持たないものは「単色迷彩」と呼ばれます。
地上部隊の場合には、濃緑・濃紺・茶色といった色が多く用いられ、該当地の植生・気象条件に合わせた数色のまだらや斑点・縞模様が用いられます。
陸上車輌や低空における飛行が主任務となる軍用機も同様の迷彩が施されます。
背景が空や海となる、外洋の艦船や海洋国の航空機では、周囲の光景に溶け込むために、より単純な迷彩となります。
例えば、光の当たる部分を暗色、陰になる部分を明色で塗り分け、陰影を相殺する事で視認性を低下させる「カウンターシェイド」というものがあります。

雪原地帯では白や薄い灰色または白一色、夜間作戦用の塗装などでは濃淡もない一色となることもあり、これらは一般的な意味での「迷彩」と呼ばれないこともありますが「迷彩」とは元々「周囲の情景に紛れるような装いである事」を意味するため、これらも定義上は「迷彩(塗装)」であるといえます。
 
需要層は異なりますが、狩猟用途でも迷彩は重要となります。
猟場の植生に合わせた服を用意することで、簡単に獲物に目視されず、場所に特化することで、軍用用途の「多種の環境での迷彩効果」以上の優れた効果を発揮することが可能です。
(注:日本国内での使用は誤射防止で規定があるので注意が必要です)
 
■制服&戦闘服■
第一次世界大戦開戦当初は派手な色の戦闘服を使用していた軍もありましたが、大戦中に各国ともカーキ色系などの目立たない色の軍服を使用するようになりました。
現在のような迷彩服を初めて本格的に使用したのは、第二次世界大戦中のドイツの武装親衛隊と言われています。

他には、同時期のイタリア軍空挺部隊、アメリカ陸軍や海兵隊の一部にも用いられ、日本の陸軍空挺部隊(義烈空挺隊)においても、戦闘服に墨で模様を描き込み迷彩効果を得ようとしました。
 
近年では、対テロ・市街戦用に灰色や白(ビルの色に溶け込むため)を基調とした幾何学迷彩(アーバンカモ)や、さまざま地形での効果を狙った迷彩(UCP/マルチカムなど)が各国で採用されています。また、コンピューターを使って効果の高い配色を決めたり、細かいドットによって模様を構成するデジタル迷彩が主流になりつつあります。
 
■車輌■
第二次世界大戦で戦車を有効活用したナチス・ドイツでは、開戦時にはダークグレーが基本塗装色となっていましたが、北アフリカ戦線において迷彩色として用いられたサンドイエローが、ヨーロッパ戦線においても有効である事が示され、後期には基本色がダークイエローに変更された経緯があります。
更に、前線では上に2色を重ねた3色迷彩が施され、また冬季の降雪時には上から石灰の水溶液などを塗りつけた冬季迷彩が使用されました。
 
アメリカ軍はベトナム戦争時期までOD(オリーブドラブ)単色でしたが、1970年代にサンドブラウンを基本にした4色迷彩を採用しました。
しかしコストや標準化の都合により、1980年代にはNATO軍と同じ3色迷彩に切り換えています。
湾岸戦争・イラク戦争では、現地に合わせたサンド系の塗装が施され、近年では市街戦に適した幾何学的パターンの迷彩も登場しています。
 
■建造物■
建造物の迷彩は、地下に隠すことのできない建物や滑走路、貯水池、ガスタンクなどを空襲から守ることが目的となります。

有名な例では、第二次世界大戦中にシアトル近郊にあったボーイング社の工場の巨大な平屋根が目立つので、上空から見ると戦略的価値のない住宅街にしか見えないよう、明暗の色に細かく分けた分割迷彩が施されたことがあります。
また、掩体壕や特火点を民間建造物に偽装するために窓などを描きこんだ例もあります。
 
■船舶&艦艇■
艦船における迷彩は、陸上や航空機から「見えにくくする」ものではなく、敵に「大きさ・速力・進行方向・距離」などを誤認させることが目的となります。
これは海洋上において、艦船の不可視現象を表現することが困難であるのが理由です。
 
艦船の迷彩は19世紀末ごろにアイデアが現れますが、実現したのは第一次世界大戦でした。
1917年頃、第一次大戦中にドイツの潜水艦による被害が増大すると、帯状の迷彩や波頭の迷彩が施されるようになりました。
特に煙突やマストなどをそのままに存続する場合、垂直線を消去し斜線の迷彩を施しました。
船舶迷彩も、初期の頃は多くの色が用いられましたが、この頃になると黒系、グレイ系、青系となっていました。

その理由は、ドイツの潜水艦が迷彩看破の方法として、潜望鏡に「色光濾過機」というものを備え、スコープからのすべての色をモノクロに還元して見えるようにし、色の影響を無くして攻撃していることへの対応でした。
艦全体を灰色に塗装すると、背景との区別が困難となります。
艦までの速度・距離測定を欺瞞し、艦影を巡洋艦や戦艦といったサイズが異なる艦艇と近い形にすることにより、距離を誤認させようともしました。
 
第二次大戦では空母にも迷彩塗装が施されています。
空母は空から見ると、その形ですぐに艦種が判明しますが、飛行甲板上に幾何学模様(基本的にどの国も、緑、黒など暗い色を使用)の迷彩を施すことで、船として発見された場合でも、艦種を判別できなくするという、輪郭線の欺瞞が狙いでした。
 
艦船の代表的な迷彩様式は以下の通りです。
・ブラッシュ式
・マッケー式
・ヘルッツオーグ式
・トック式
・ワーナー式
 
■航空機&軍用機■
第一次世界大戦までは戦闘機同士の戦いは、故意に無塗装や派手な塗装の機体として目立たせた上で、飛行士同士が騎士道精神に則り一対一で派手な空中戦を演じていました。
そのような空中戦は、敵および味方そして地上の人間に戦いぶりを見せつけ、武勇伝を後世に残す場と考えられていたからです。
 
第二次世界大戦では、個人戦からシステム化された団体戦に移り、アメリカ・イギリス・オランダ・スウェーデンは、空軍の飛行機に迷彩を施すようになり、試行錯誤の研究が行われました。
 
本格的な航空機への迷彩は、ベトナム戦争のころから発達していきます。
ベトナム戦争では、目視範囲での戦闘が多かったため、アメリカ軍では派手な塗装の機体の損害が無視できないものとなりました。
そのため、低空における任務が主である攻撃機などには、上から見た時に地上に溶け込むような地上部隊と同様の迷彩塗装が、高空における制空任務が主である戦闘機にはなるべく近くまで見つからないようにする青灰色系統の低視認性(low visibility:ロービジ)塗装が行われるようになりました。

また第二次世界大戦時には上部を前者に、下部を後者にする折衷も見られましたが、横から見た場合、却って目立ってしまうため、採用例は多くありませんでした。
部隊マークや機体番号などもロービジ塗装で描かれており、遠目に目立たないようにされています。
日本のように周囲を海に囲まれた国では、機体に青を基調とした洋上迷彩が施される場合もあります。
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